圧倒的に美しいものに触れると、
私は、涙があふれてしまう。
昨日、ずっと行きたいと思っていた、
グレーケリー展を訪れた。
そこにあったエネルギーは、
グレースケリーというひとりの女性の
圧倒的な愛と洗練のエネルギー。
そして、私が一番心が惹かれたのは、
彼女が身にまとっていた洋服であった。
以前、オートクチュール展に行ったときも
同じことを感じたが、それは、一流の洋服には、
美術品以上の価値があるのではないか?
ということ。
なぜなら、最高に美しい芸術品でありながら、
日常に身にまとう要素を兼ねているから。
五感の中でも、"触れる"ことは、
実は最も、魂に響く行為であると感じる。
だから、人は、人に触れたいと
本能的に感じるのだろう。
「今ここ」の実感も、この"触れる"ことにある。
グレースケリーが身にまとっていた洋服には、
彼女の気配や魂までもを感じた気がした。
だから、涙が溢れる。
その洋服に込められた作り手の思い。
そして、それを身にまとっていたグレースの思い。
美しさには、人の純粋な魂から紡ぎ出される、
思いがある。
その精神性を、私は愛してやまないのです。